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就職としてはおすすめしません

最近、演劇業界外の方から演劇とコラボしたいとか、演劇界向けの新規ビジネス立ち上げとかのご相談というか、リサーチにお付き合いすることが何件か続いた。

業界全体として決して順調でも健全でもない状況が続いている気もするので、外の人が気にかけてくれて関わってもらえるのはいいことだとは思う。

とはいえ、基本的には閉鎖的な世界なので、外の世界から関わるのは難しそうだなあと思ったりもする。
なので、お話するときは最初にそこから入ることにしてます。
最初のうちは相当距離を取られますよって。

大学時代にサークル、アルバイトを経てフリーランス舞台照明家というややめずらしい流れで仕事に就いたので、昔はよく若い人に相談を受けた。
大学とかで演劇をしていて、ずっと演劇界隈で暮らして行きたくて、スタッフならまだなんとか食えそう。会社組織になってるところも多いので親とかも説得しやすい。
そんな感じで、舞台スタッフを仕事にしたいんですが、という相談。

その時も最初に言うのは
「就職先としての舞台スタッフはおすすめしません」
ということ。

労働時間が長い。
肉体的にも精神的にもストレスフルな職場環境。
拘束時間に比べると安い対価。
当時はそんな言葉はなかったけど、やりがい搾取のブラック業界です。

なので普通に「職業」として舞台スタッフを選ぶと、間違いなくイメージとのギャップに苦しむことになります。
好きなことしてるのになんとか食べていける、くらいでないと続かないと思います。

それでも舞台業界へのあこがれと安定収入や親への説得を両立させられると考えるのか、舞台スタッフになりたい人は多いんですよね。

さらに余談ですが、学校公演で地方を回っていてかなり田舎の街で公演先の高校の先生から相談されたこともありました。
照明スタッフ志望の女の子がいるんだけど、情報がなくてこちらではうまく進路指導ができないので、少し本人の話を聞いてもらえないかと。

ということで公演準備を実際に見学してもらいつつ、合間に調光室で話をしました。
お話としては、
・元々は某バンドの大ファン。
・そこから舞台業界で働きたいと思うようになる。
・一般的なルートの専門学校は親が許してくれない。
・大学に進学してから舞台スタッフになるルートはあるのか分からない?
という感じでした。

なので最初は恒例の職業としてはおすすめしない話から。
また好きなバンドをやっている照明会社に入れるかわからないし、入れてもそのバンドの担当になれるかわからないし、なれてもずっとその会社がそのバンドをやっているかは分からない。
大学サークルで業界に近づくこともできる(ぼくパターン)し、照明会社などでアルバイトをして卒業後に就職する人もいる。
みたいな話をしました。

もう15年くらい前のことだけど、彼女はその後どうなったのかな?
もしこの業界に入っていれば30代半ばでバリバリ働いている頃だと思うんだけど。

もしも現場で出会ったら、おかげさまで念願が叶いましたって言ってもらえるか、あなたのせいでヒドイ業界に入ってしまったじゃないですかって怒られるか。
だから最初に言ったよね。
就職としてはおすすめしませんって。

(19分49秒 1305文字)

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