20分

20分で書き上げた記事をリライトなしでアップしていくブログです

誰が冒険家を殺すのか

登山家の栗城史多さんがエベレストでお亡くなりになったそうです。

www.huffingtonpost.jp


今回は8度目のチャレンジ。
そして一度も山頂に立ったことはありません。

「冒険の共有」を掲げて、登山のネット中継など情報発信に力を入れていて、講演会なども多く行っていたようですしマスコミにもたびたび取り上げられていました。
知名度もあり、ファンの方も多くいらっしゃったようです。
その一方で、登山計画の無謀さや計画性のなさなど多くの批判にもさらされていました。

ぼくは山の世界にはそれほど興味がなかったので、正直なところ栗城さんについてもそれほど詳しく知っているわけではありません。
著作(あるのかどうかもしりませんが)を読んだり、生の声を聴いたこともありませんでした。


彼のことが気になるようになったのはごく最近です。

それは自分自身の感覚が少し変わってきたからです。

今日はそのことについて書いてみます。

 

なぜ、彼はエベレストにチャレンジし続けるのか。
気になるのはその一点だけでした。

活動を始めた頃は周囲からの注目を集めることも多かったものの、登頂失敗を繰り返すうちにスポンサーや支援者にも距離を置くようになった人が増えたと聞きます。
マスコミに取りあげられることも一時よりは少なくなったそうです。
彼自身も登山中に指を失ったりしています。

自分を取り巻く状況が厳しさを増す中で、それまでと同じように敢えて難易度が高い季節やルート、条件を選んでチャレンジするのか。
そのことがどんどん気になるようになったのです。

自分の中にも彼と同じような感覚があることに気づいたから。

登山の技術や運営については全くの素人なので判断することはできませんが、多くの登山家やジャーナリストが栗城さんについて批判していました。
その多くは難コースにチャレンジすることはともかくとして、その難易度と本人の技術や事前準備が十分ではないというものでした。

ぼくが「ヨットでの単独無寄港世界一周を目指す」と宣言したらどうなるんだろうと考えたりします。
ヨットのことを知らない知人からはとても注目されるし応援されると思います。
一方でヨットや海関係の人はかなり懐疑的に見るでしょう。
プロジェクトの現実的な難易度とぼくのスキルを理解することができるからです。
さらに、たまたま売っていた中古ヨットを買って、天候や風を全く考慮しない時期に出港すると発表したなら、大多数の人は反対するだろうし、中には体を張って止めに来てくれる人もいるかもしれません。

もちろん、成功する確率はゼロではないです。
技術や経験が足りないことも決定的な問題ではありません。
ぼくの身近な人の多くはチャレンジすることを好意的に受け取る人が多いので。
それでも、チャレンジを成功さるための準備や努力が足りないことを許容してはもらえないと思います。

じゃあ、自分の力不足を感じたら辞めるのか。
これまではそう判断したと思います。
というか、そもそも自分の持っているものとやりたいことを見比べて、現実的な判断をしたことでしょう。

スキルアップを目指す。
自然条件を精査する。
使用機材の選定を慎重に行う。

そして成功の確率が低ければ辞める。

それが当たり前だと思っていました。

この話は続きます。

 

■栗城さんについて書くことがメインではないのですが、例えばこちらのブログとかはぼくの感想に近い気がします。

fujipon.hatenablog.com

(31分23秒 1300字)

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