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下積み時代が短かったことへの後ろめたさってなんだろう?

このブログを読んで下積みということについて少し考えてみました。

ぼくも舞台照明というどマイナーな業界で、なんとなく生きて来たんですが、その中で下積み時代も確かにあったのです。

 

fujipon.hatenablog.com

 

 

学生時代にアルバイトみたいな感じでいろんな会社やフリーランスの人に現場に連れて行ってもらってましたが、特定の会社に所属していたわけではないし、師匠ポジションの人がいたわけでもないので、同時代、同世代の同業者と比べてそれほど下積み的なことをやらされてはないと思います。

なんですが逆に、ぼくが間違ったことをしていても怒ったり注意してくれる人もいなくて、ちょっとツライ状況ではありました。

ある意味ではとてもドライな風潮のある業界なので、自分と縁もゆかりもない、そしておそらくは人数合わせのために呼ばれただけの学生に、ちゃんと仕事を教えたりはしてくれません。
会社の後輩でこいつが育たないと自分がしんどくなるとか、自分の仕事で使える若手の手駒を確保したいとか、そんな実利が伴わないかぎり、自分の飯のタネでもある技術を気軽に教えてはくれない、そんな感じです。

そう思うと、下積み修行を許容している業界というのは余裕があるのではと思ったりします。
売上や利益に直結するだけのスキルを持たない人を雇用しているのですから。

先日もある仕事の休憩時間に最近の若手の話で盛り上がりました。
4月になって新入社員も増え、いろんな現場で新たしい人に出会ったりもします。
そうすると若手社員の仕事っぷりについてもいろいろな話がでます。

その会話の中で
「二年近く仕事して、まだ稼げない人をいつまでも会社で面倒見てるわけにもいかないしなー」
というようなものがありました。

この業界では一年間仕事をしてある程度一端になっていないとかなり評価が下がります。
そして二年くらい経てば、普通にひとり分の人件費を貰えるレベルにまでなってることが要求されます。
そういう意味では無駄な下積み修行をやらされることはないのかもしれません。

いま思えば、下っ端が主にやるような作業にも基本的には意味があります。
若い時にあまりそういう作業をしてこなかったぼくは、苦手な作業もいくつかあったりします。
(例えば、カラーフィルターをサイズ別に切る作業とか)
大したことではないし、この仕事の本質ではないのかもしれませんが、そういうことが苦手というのはどことなく後ろめたく感じたりもするものです。

そういう下積み時代を経てこなかった後ろめたさを感じる人ってどのくらいいるんだろう?
舞台照明家というのはデザイナーだったりプログラマーだったり職人だったりと、仕事の中にいろんな要素が含まれています。
なんとなくですがその中の職人的要素。
ちょっとした手仕事をうまくできることや、作業を手早くこなしていくための勘どころを知っていること。
そういう効率や教育だけでは身につかないものに価値を見出す職業的な価値観があるのだと思います。

(21分33秒 1170字)

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